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書かれている事のまとめ
山東京伝の本より
- 江戸時代の作家である山東京伝によると、うなぎの蒲焼は「かば色」が語源では無い.
- 香りがはしるで、香(か)ばしるから来ている.
- 豆腐は昔、「おかべ」と呼ばれていた.

出典
【出版年】文化11年(1814年)頃
【著者】山東京伝
【書名】骨董集
【タイトル】かばやき おかべ
原文の雰囲気は?
鰻鱺の樺焼は其焼たる色紅黒にして樺の皮に似たるゆゑの名なりと諸書にいへるは不稽の説なり□新猿楽記に香疾大根といふ名みえたりこはかうばしき香乃...
原文の現代語訳
うなぎの蒲焼は、その焼いた色が赤黒く、カバノキの皮に似ているからの名前だと色々な本に言っているのは、考えが至らない説である.
新猿楽記[平安時代中期の本]に、香疾大根[かばやきだいこん]という名前が見える.
これはこうばしい香りが、疾(はや)くひとの鼻に入るという言いようだろうから、うなぎの香疾(かばやき)はよくあてはまる名前である.うなぎを焼くほど香りがはやいものは他にないだろう.
香疾[かばやき]の読み方に、樺焼[かばやき]と当て字をして、さて樺の皮に似ている、という説を作り出したのだろう.
これは、はおりに羽織の字を当てて、さまざまに見当違いな説を言うようなたぐいであろう.
新猿楽記は藤原明衝の作である.後三條院東宮の時代には、藤原明衝が白髪であることを読んだ歌があるので、今の文化10年[1813年]まで、おおよそ760年前の人である.古い話である事は想像できるだろう.
他にも、今の女性の言葉で、豆腐を「おかべ」と呼ぶのも古くからある話である.
饅頭屋節用[文亀・1500年頃]という本の衣食の部に、「白壁-ハクヘキ(豆腐)」というような記載がある.
また海人藻芥(1690年代)という本には、『飯のことを「供御(くご)」、酒のことを「九献(くこん)」、餅は「かちん」、味噌の事は「むし」、塩は「しろもの」、豆腐は「かべ」、そうめんは「ほそもの」、松茸は「まつ」、鯉は「こもじ」、フナは「ふもじ」などなど』と書かれているので、今のやまと言葉というものは、およそ三百二、三十年前にはすでに呼んでいた異名である.