大正時代の料理の本から、宴会時のマナー30か条


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大正時代の本より

好きなものばかり取るのはダメ、最後に残ったお菓子を食べてはダメなど、大正時代のテーブルマナー

【出版年】大正12年(1923年)発行
【書名】西洋料理の拵え方
【タイトル】第13 最新宴会の心得

原文もほとんど同じです.

 近来西洋風の宴会がいたる所におきまして盛んに行われておりまするが、どうも欧米諸国の交際社会に行われている所のその作法の心得をご存知の無い方のために左にのべてご覧にいれましょう。


第1が、食卓に着きましたら、決して左を見たり右を見回してはいけません。

第2が、決していかなる食物(しょくもつ)にても、口にいっぱいほうばってはなりません。

第3が、いかなる食物によらず、決してかみながら口を開けぬようにいたさねばなりません。

第4が、口中に指を入れ、歯などをほじることはごく禁物です。

第5が、ナイフにて食物を口に入れることは最も無作法です。又ナイフを舐めてもいけません。

第6が、よく注意をいたしまして、決してバターやロースにて卓子掛(テーブルかけ)を汚してはなりません。

第7が、食卓上にあります果物は、いかなる種類によらず、決して他の席へ持って行くことは出来ません。

第8が、まずお菓子にいたせ果物の類にても、それが一個ぎり残っております場合は、決してそれを取らぬようにいたさねばなりません。

第9が、献立の中に、自分に好まぬ品物があっても、一切口外しては無作法です。

第10が、決して自分からかれこれと、品好(好き嫌い)をいたしてはいけません。

第11が、よく貧乏ゆすりをいたしたり、あるいはしばしば襟飾りを直すのも、ごく無作法でございます。

第12が、肘を卓上に置いたり、ないしは頬杖を付くことは、ごく禁物です。

第13が、指に故障(怪我)のあります場合の外は、決して手袋をはめたまま食卓に着くことは出来ません。

第14が、隣の人に強くひじを突き当てることは、大いに失礼でございます。

第15が、他人と耳こすり、あるいはあくびを出してはいけません。

第16が、おのれと対食いたしておる方の足に触れぬようにいたさねばなりません。

第17が、残骨をねぶり、あるいは残汁をすすることは禁物です。

第18が、例え自分の好物と言えども、決してそればかり取ることは、はなはだ無作法である。

第19が、おのれの進められたる食物は、同席の人に譲らぬことを忘れてはなりません。

第20が、食事中にいかに興に乗ずると言えども、決して高声を発し、或いは肉刺(フォーク)を振り回してはなりません。

第21が、いかなる場合においても、椅子は決してうしろにずり出ださぬこと。

第22が、ナイフにて皿をカチカチと切らぬ事。

第23が、取りにくいと見える食物は必ず肉刺を右の手に持ち、左の手にてパンをつまみてこれにて押さえてとること。

第24が、もしそそうしたる場合なりとも、決してあわててはいけません。なるべく静かにそれを処置いたすのである。

第25が、もしも自分にて処置をいたし難き場合においては、静かに給仕人を呼んでそれを告ぐる方がよろしい。

(注 下記おそらく番号誤記)
第24が、果物を切る時は必ずデザートナイフをもちいる事、決して他のナイフをもちいてはなりません。

第25が、婦人客のあるときは、婦人客の席を立たない事、また先に立ってはなりません。

第26が、びろうなる談話と、他人を中傷するがごとき談話は、一切してはいけません。

第27が、自から愉快に、人をも愉快ならしむるよう努むることが肝心。

第28が、喫煙室に入りたる場合は、あまり長く談話をいたさぬこと、特に時刻をはかりて帰らなければなりません。

大正時代の料理の本

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