明治の小説家小栗風葉の性格が分かる、絵を引き裂くエピソード 


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大町桂月の本より

小栗風葉が酒に酔った時のエピソード

【出版年】大正11年[1922年]
【著者】大町芳衛[ほうえ、桂月]
【書名】筆のしづく
【タイトル】酔中の小栗風葉

風葉は小説家中の快男子なり.一身すべて、これ才と気、胸中の磊塊、酒に和して迸り出づ.嘗て共に一酒楼に飲む....

風葉は小説家中の快男子である。

彼のからだ全ては、才能と気力である。その胸のうちの度量の大きさは、酒にともなってあふれ出る。

かつて一緒にとある酒屋で飲んだ。その場には5,6人いて、皆文壇の著名な者である。
そこで働く一人の女が、紙を広げて文やら絵やらを何か書いてほしいと頼んできた。みな了解して筆を取る。

俳句あり。漢詩あり。書あり。他の女が同じく頼んできた。そしてまた筆を取る。その女は生意気にも梅の花の傍らに、茅屋(ぼうおく、あばらや)の絵を書き加えた。

風葉はそれを見て、その紙を引き破りハハハと大いに笑った。こんなところに、風葉の風采が現れるのを見るのである。

日本の文豪の本

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