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書かれている事のまとめ
熊沢 蕃山の本より
子供が人見知りしないのは長所ではない.人見知りする子供は恥の心を理解していて、働きがある人になるという事.

出典
【出版年】明治25年[1892年]
【著者】熊澤 伯継[熊沢 蕃山]
【書名】中学読本
【タイトル】恥の心
原文の雰囲気は?
、、、其の上、平人の利発と云ふものは、大方、鈍なるものなり.わらはべの爪ぐはへして赤面し、人前にて、物言ひかぬるは、知明にして恥の心ある故なり.人に存するものは、恥の心よりよきはなし.、、、
原文の現代語訳
とある人が言うには、今の幼い子供は大体才知や芸能が優れている子が多い。それだというのに、世間一般の人が次第に劣って行っているのは、不思議なことであると。それに答えて、確かにそうであると。
田に植える稲も、晩稲(成熟が遅い稲)ほど取れる実も多い。今時の子供が利発であるのは、稲の早稲(早く熟する稲)の様である。大人になっていくほど、知恵の取り実が少ない。
その上、凡人の利発と言うものは、おおかた鈍い人なものである。
子供が爪を加えて顔を赤くし、人前で物を言い出せないというのは、賢くて「恥の心」があるゆえである。
人にあるもので、恥の心より良いものはない。
恥の心が明らかであるものは、学問をしてみれば君子の地位にもいたり、たとえ無学でもいつもは人柄が良く、いくさの中では武勇の働きがあるものである。
昔の子供達には、爪をくわえる者が多かったゆえに、大人になるに従ってひとかどの役に立つものがあった。
今の子供は人見知りをしない。人前でも利発にものを言って、立ち振る舞いもよい。これ故に大人になるほど、役に立つ人としてとるべき人が少ないのである。
人の親である者が道徳を知らなければ、恥の心ある子供をしかりつけて、恥の心をなくしてしまい、恥の心の無い子供をほめ愛して、いよいよ誇らせてしまう。
才能は日々に衰えて、わがままは日々に進む。悲しむべきである。