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書かれている事のまとめ
佐久間象山の本より
学業に励む事、人を安らかにする法、自らを戒める事を説いた名言を、明治時代の教科書から抜粋.

出典
【出版年】明治39年[1906年]
【著者】佐久間象山
【書名】国文教科書巻八
【タイトル】自警[省諐録より]
原文の雰囲気は?
予年二十以後、乃チ知ル、匹夫モ一国ニ繋ルアルヲ。三十以後、乃チ知ル、天下ニ繋ルアルヲ。四十以後、乃チ知ル、五世界ニ繋ルアルヲ。
日キ一タビ移レバ千載再来ノ今ナシ。形神既ニ離ルレバ萬古再生ノ我レナシ。學藝事業、豈悠悠タルベケンヤ。
人ノ己ヲ誉ムル、己ニオイテ何ヲカ加ヘン。若シ譽ニ因リテ自ラ怠ラバ、則チ反リテ損セン。人ノ己ヲ毀ル、己ニオイテ何ヲカ損セン。若シ毀ニヨリテ自ラ強ウセバ、則チ反リテ益セン。
身ニ規矩ヲ行ヘバ則チ厳ナラザルベカラズ、コレ己ヲ治ムル方ナリ。己ヲ治ルハ即チ人ヲ治ムル所以。人ニ規矩ヲ待テバ即チ厳ニ過グベカラズ、コレ人ヲ安ンズル道ナリ。人ヲ安ンズルハ即チ自ラ安ンズル所以。
書ヲ読ミ、學ヲ講ジ、徒ニ空言ヲナシ、当時ノ務ニ及バザレバ、清談事ヲ廃スルト一間ノミ。
原文の現代語訳
私は二十歳になってより、小さき身も一国に繋がるものあるを知った。三十以後は、天下に繋がるものあるを知った。四十以後は、五世界に繋がるものあるを知ったのである。
日がひとたび移れば、千載に渡って再来する「今」はない。体と精神が既に離れてしまえば、永久に再生する我は無い。学芸や事業にあたって、どうして悠々としていられるべきだろうか。
人がおのれを褒める事が、おのれにとって何を加えよう。もしその評価によって自らおこたるならば、すなわちかえって損となる。人がおのれをそしる事、おのれにとって何を損なおう。もしそしりによって自ら強くなるならば、すなわちかえって益となる。
身に規律を行うならば、厳しくなさざるべきでない、これは己を治める方法である。己を治めるのは、すなわち人を治めるゆえんである。人に規律を願うには、厳しきに過ぎるべきでない、これは人を安らかにする道である。人を安らかにするのは、すなわち自らを安らかにするゆえんである。
書を読み、学問を講じて、理由なく空言をなし、今ある働きを行わなければ、高尚な論議が現実を捨てたというのみである.